鏡 目薬 タバコ 鍵 助手席。
モチーフの扱い方が洒脱でわかりやすい。
ただ赤い車が走っているだけなのに、癒されていく。
劇と現実を行ったり来たり。
家福は怒らず、泣かず、笑わず、言葉で感情をやりとりする。一方、ユナは一言も発せずに手を動かし人の胸を打つ。
他者をありのまま受入れることで、自分も生きていくことを引き受けたミサキ。
他者は理解できないものと言いながら、自ら酒に誘い身体を交え殴りつける高槻。
この静動が両極端な役者たちが動かす空間の揺らぎが美しかった。
こんな良作を2度とも1人で観て、語り合える家族も友人もいないのはなんて淋しいことでしょう。