このレビューはネタバレを含みます
村上春樹の短編小説「女のいない男達」の中の一遍。
映画としては、全体的に意識的に暗く淡々とした印象を受けた。
登場人物の会話についても、かなり意識して感情が表面にでないよう気を使ってた。
特に主演のふたりについてはこの傾向が強い。これは、映画内での演劇の練習手法について解説があるが、それを映画全体で取り入れているような印象があった。
ただし、その分ふたりの感情が揺れる箇所や、他人物の感情が揺れる箇所がすごく映えた。
意識的な無音であったり、防犯カメラと鏡の関係だったり。演出にもきちんと意味が伝わってきて、より感情移入できた。
あまり伝えたいこととか、表現したいことを意識して映画を見るのが得意ではない。
とあるニュースでは、ウィルスミスさんのビンタとこの作品を絡めて、「男性の主人公がどうやって自分の中の有害な男性性や自己愛を乗り越えて、他者に心を開いていくかっていう話でもある」とコメントしていたが…個人的にはそういうテーマではないように感じた。
私自身としては、かなり好きな作品だった。サブスク等で配信スタートしたら見返したいし、原作を再度読み返している。
