このレビューはネタバレを含みます
村上春樹の本はほぼ全て読破しているくらいのファンですが、この映画はよくできているなと思いました。
監督が取り上げられている小説をよく研究していて、脚本と構成が良いです。
原作の『女のいない男たち』の中ではシェエラザードとドライブマイカーに比重が重めでしょうか。
元やつめうなぎさんの結末がより破滅的に変更されていて、それを岡田将生の目力で訴えられると、かなり引き込まれるものがありました。
西島秀俊と岡田将生の車上でのシーンを見るために映画を見ると言ってもいいかもしれません。
ラストの、手話でのソーニャのセリフもグッときました。これも原作では引用されていない部分でした。
ワーニャ伯父さん、ゴトーを待ちながら、とどちらも人生の基盤となるものがなくなってしまった中で、生きていくものたちの辛さを描いている演劇が取り上げられていて、うまく映像に落とし込まれているなと思いました。
音楽の使い方がかなりストイックで、俳優の意図的な棒読みセリフが全編を覆っているため、家で見ると眠くなりそうです。
語られるテーマといい、中年以上の大人向けに感じます。
岡田将生が暴力を振るう前に二人がのんでいたバーは木野っぽかったです。猫は見当たらなかったですが。
あと、原作では黄色の車でしたが、赤になってました。何か監督の思い入れがあるんでしょうか。