モカ

ドライブ・マイ・カーのモカのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

原作未読。
自分を演じて喪った人達が、物語を演じて自分を生き直すきっかけを得る物語。

劇中劇の役者陣の多様な顔ぶれは、これは賞取るよね!という感じ。飛び交う多言語よりも、言葉以上のものと音楽がよかったな。パクユリムさんの演技もよかった。でも手話ネイティブの方は居なかったのかな…?

同じ村上春樹の短編原作でも「バーニング」と違ってかなりわかりやすくて意外だったけれど、長さも気にならなかったし、映画館で観てよかったなと思うシーンがたくさんあった。

車を自宅の駐車場に入れる時のブザーが開演のベルそのもので、彼は今から演技をするのだと理解できたし、家の中の不思議な緊張感が伝わってきた。
(同時に作劇にマチズモな嫌さも感じてしまったけど)

青く美しい瀬戸内海と、フェリーからの漆黒の海の対比、すき。
夜行フェリーに乗るといつも感じる夜の海の底しれぬ恐ろしさ。それが画面いっぱいに写されて、あのときの音の目がフラッシュバックして身震いしたし、北海道のシーンでの「うるさいくらいの静寂」には感動したな。
多言語ワーニャ伯父さん、観てみたい。

あと西川美和監督「永い言い訳」を何となく思い出しました(より地に足がついている、劇的ではない再生の話です、おすすめ)
モカ

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