ドライブ・マイ・カーのsoramametonのネタバレレビュー・内容・結末

軒並みカラい評価が多くてあまり期待をせずに観始めましたが存外に面白かった。

正直、何が面白いの？と問われるとかなり説明は難しいのだが、タイトルが出た後は目が離せず、じっと見入ってしまった。

果たしてこの作品の面白さをどの程度語れるものか自信はないが、お暇な方はせっかくなので少々お付き合いを願います。

家福とのセックス中に語る音の創作。
ヤマガ＝家福、女子高生＝音なのだろうと私は推察する。

ヤマガの部屋で禁忌としていたオ○ニーにふける女子高生。玄関の扉を開く音がして、何者かが階段を上がってくる。女子高生はこれで終れると密かに思う。上がってきたのはヤマガか？父か？母か？
家福の知っている話はここまでだ。そして浮気相手であるタカツキからこの後のストーリーを聞かされることとなる。
階段を上がってきたのはただの空き巣だった。空き巣は半裸の女子高生に襲い掛かり、女子高生は必死に抵抗して空き巣を殺してしまう。女子高生は空き巣をそのままにうちへ帰ってしまう。その翌日、ヤマガは何事もなかったように登校してきた。気になった女子高生はヤマガの家に行くと玄関に監視カメラが設置されていた。昨日まではなかったはずの監視カメラ。女子高生は音声を拾わないであろうカメラに向かって『私が殺したの、私が殺したの、私が殺したの・・・』何度も言う。タカツキの話はここで終る。

音は家福に浮気のことを本気で叱ってほしかったのだろうと考える。叱ってくれたら浮気をくり返すことをやめられるのにと。家福はそのたびに見ないふりをする。まるで音に興味がないかのように。今度こそ叱ってくれるだろうと願いながら音は浮気をくり返す。
夫婦関係のメタファーなのだろうと私は感じた。

ドライバーのみさきの年齢が死んだ娘と同じだったと思う。確認してないので定かではないが。家福は死んだ娘の姿をみさきに見ているような気がした。そしてお互いに過失とはいえ相手を死なせてしまったという負い目がある。
劇中劇の中での禍福と手話の女性との演技が生きていかなければならないことがテーマだった。
そしてラストのコロナ下の韓国と思われるところで家福と同じサーブに乗って運転するみさき。車内には韓国通訳の夫婦が飼っていた犬に似た犬がまっている。みさきがマスクを外すと傷が薄くなっている。正直これがどういう意味なのかは分からない。あくまでも観ている人に委ねているのだろう。

サーブのサンルーフを開けてタバコを吸うシーンは純粋に良かった。

いろいろと考察の余地はありそうではあるが一回の視聴では正直この程度である。でも多言語の劇とか、みさきの母の８才のサチという別人格とか、何か意味がありそうな気がする。

私はハルキストと言えるほどは村上春樹の作品は読みこんではいないし、作品をすべて読んでいるような人間ではない。でも目の前にあれば読むし、なければわざわざ買ってまで読みたいとも思っていない。実際、ドライブ・マイ・カーも原作を読んでいない。
そんな私でも、あー、ムラカミっぽいなと思った。