時間軸を使いながら過去と現在を紡いで行く事で、人との関わりやその交流、守るべき物を守ろうとするそれぞれの姿を丁寧に描いて行く物語が抜群の面白さだったし、時に現実の重みを突きつけながら、軽やかさを忘れずに描いていたのが素晴らしかったな。
この作品を観ていて、その会話のテンポの良さに引き込まれたし、口がどんどん悪くなって言ってるその会話の切り返しが抜群に面白かったりして、それが観ていてとても楽しかった。
なんか会話から人柄の感じ悪さを感じてもおかしくようにも思うのだけど、観ていて清々しさを感じたり出来たのは高畑充希の存在感あってこそだったように思った。
大久保佳代子演じる先生の存在感とあの演技もまた素晴らしかったし、主人公とは世代やお互いの関係性を超えた所で連帯し合って行ける間柄として深まって行くその過程を描いて行くのを観てるのがとても楽しかったし、だらし無さもありつつの一人の人の人生の指標になって行くあの姿と立ち振る舞い、その志にはかなりグッと来る物があった。
主人公と映画館のおじさんのやり取りにはかなり笑ったし、思わず吹き出しそうになる所もあって最高だった。
でも時の流れの中で生きて来たその出来事の重みを感じる所には言葉を失うしかなかったし、それでも生きて行く中での葛藤や、その物事の落とし前をつけたくてもつけられない中でもがいている姿や心像風景を丁寧に捉えている作品でもあったように思う。
個人的には地域貢献を行う事を巡るその会話がとてもリアルで。
でもその地域貢献を行う正しさは納得出来る反面、そこに戻る事なんて出来ないんだよと強く思ったし、それは幻想だよなと思った所がとても深く響く物があった。
主人公と先生の交流、そのやり取りが歳を重ねて行く中でその面白さ、魅力に溢れた描き具合だったのが最高だったし、悲しいはずなのに思わず笑ってしまうあの感じがとても良かったりした。
しかしながらあの終わり方には驚いたけど、観ていてとても嬉しくなったし、ある種時代を生きて来た中で現実を突きつけられたり、翻弄されて来た中でのある種の落とし前がそこにはあって。
主人公と映画館のおじさんが物語の最後に交わす会話の中で、映画館のおじさんが言ってた一言にはグッと来る物があったし、とても深い余韻を残してくれる一言でもあったから、観終えた帰り道にしっかり噛み締めた。
登場人物それぞれがとても魅力的で、人情味に溢れていて、人を描く面白さを存分に堪能出来る作品で全てが素晴らしかったです。
