野川由美子『夜の牝』シリーズ2作目。やくざの組長だった父の死を機に組を解散し、九州から大都会に出てホステスを始めるヒロインの活躍を描く。1作目『花と蝶』と設定は同じで、西河克己が続いて監督した。舞台は1作目の東京から大阪に変えてある。
脚本が田波靖男なので序盤は日活の役者を使った東宝喜劇のよう、コネのない野川が図々しく高級クラブのホステスになってみせるくだりは無責任植木等を思わせる。この調子でずんずん行けばいいものを、前作同様中盤が重く湿ったホステス哀話になるのがありふれていてもったいない。ちゃんと最後にアクションがあるのは設定的に正しい前作からの改良だが、『緋牡丹博徒』のパロディでなく単なるモノマネに見えてしまうのは中盤が生真面目すぎるからだろう。