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彼女のesewのレビュー・感想・評価

彼女(2021年製作の映画)
2.5
2021.4/17 no15

あんちゃんが大根過ぎて入って来ない!笑

同性愛を描くのに、死ぬ死なないのエクストリームな設定を組み込むやり方が微妙。

逆に言えば、DV被害者を個人の力で救うことで恩を売って買ったと言えなくもない。もちろんラスト間際の小屋でそうじゃないんだということは説明されるんだけど。じゃあDVがなかったら主人公は真木よう子の方にいるわけで、そっちの関係は主人公にとって妥協としての消極的安住ということは真木よう子と母親の会話や真木よう子とのファーストキスを拒んだことで示唆されている。

貧困、家庭崩壊、DV、万引き、売春、DVという貧困の連鎖を相手役が体現していて、そこに主人公のセクシュアルマイノリティ設定がぶつけられるているのだけど、設定が広がり過ぎてセクシュアルマイノリティを2021年に扱った作品としてはかなり散漫な印象だった。散漫な印象を散らすためにエクストリームな状況(DV夫、警察との遭遇とバイク強奪、田舎のタクシー、兄夫婦)をご都合的に入れている。

もっと2人が今この瞬間にぶつかり合うことを描くべきな気がするが、常に過去へのノスタルジーと成就しなかった学生時代の想いへの再挑戦へと物語が進んでしまう。

“あなたがニコッとするだけで、私の人生なんてボロボロになっちゃうんだよ“は超強力なパンチラインだったのでその1文、その1シーンだけで見る価値があるけど。あれはすごいセリフでぶち上がった。

あと全編通して水原希子は夜が上手い、動きにぎこちなさがなくスムーズ。性愛を真正面から描くなら水原希子は役者として卓越してるんじゃないか。ふつうのシーンの表情やセリフ回しはあんまりだけど。翻ってDV夫役の人、めっちゃ夜が下手でしょ笑

エロスではなく、等身大の性愛をまっすぐ描くことに関しては主役の2人がとても良かった。日本の地上波では描けないのでそこはNetflixの良さが存分に出たなと。アラサー描くなのだから性愛が過剰にロマンティックではなくリアリティとして描かれて当たり前なのだけど。
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