Ren

エスター ファースト・キルのRenのレビュー・感想・評価

3.5
いいね!ホラースリラーバトルアクションカメラグルグルライトチカチカ祭り。バキバキのジャンル映画だ。これが100分以内で観られるのだから素晴らしい。概ね満足だった!

※前作の「衝撃のラスト」は有名すぎるけど、未見で知らない人は前作を観てからの鑑賞がおすすめです。

2009年版『エスター』の威厳を損ねない良作。

前作の前日譚を10年以上ぶりに同一キャストで撮るとなるとどうしたって違和が生じるが、実はこと『エスター』に関しては納得度の高いチャレンジということになる。上手い。
20代の大人の俳優が子どもの役を演じなければならない現場にあって、その点を半ばパワープレイでクリアしており(対峙する俳優がシークレットブーツを履く/アップ多用で足下を映さない 等)、その笑ってしまうような小賢しさ自体が作品のリアリティライン引き下げに貢献していたように思う。

他にも、例えば前作から引き継がれた絵画の演出。前作のレビューで自分は「ここだけ無駄に派手で浮いていた」的なことを書いた気がするが、今作ではそのモチーフを前面出しにすることで「皆さんこれはジャンル映画ですよ〜」と声高に主張することに成功している。
爆音ポップスの使い方や今まで何度も観たラストの演出など、ジャンルへの敬意と恥ずかしさが拮抗して後者が勝つ瞬間も無くはないが、自分はそれ含めて賛。お決まりだけどチープではないのがポイント。『マリグナント ~』の読後感に似ていた。

導入のスムーズな視点転換とエスターの戦闘力(体力と頭脳)の提示。その後訪れる驚きの転換と後半のバトルに説得力を持たせるためのフリがテンポ良く捌かれていく。
それまで長い廊下や道などX軸方向に感じたスリルが終盤のY軸方向のアクションに新たな緊迫感をもたらす。短い上映時間の中に小技がたくさんある。

内容について言えば、これは「家族という他人」のスリラー。誰もが何かを抱えているという当たり前のことも双方から照射すれば事件になる。「家族」なんてまやかしだ。
フィクションでは擦られすぎたイヤホンという小道具。外界を遮断し自分だけの世界に没入するためのアイテムだが、それを装着している人は....。

その他、
○ 中盤の超重要シーンがさすがにご都合すぎて引っかかった。あの場所であんなことしないだろ〜。
○ 愛の奪取はロクなことにならない。結局取り残された者が誰なのか、皮肉なラストだ。
Ren

Ren