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フィールズ・グッド・マンのsashaiceのレビュー・感想・評価

フィールズ・グッド・マン(2020年製作の映画)
4.0
ぺぺが教えてくれたネット世界のイメージの氾濫や情報の拡散の恐怖とアメリカ社会の闇。一度は死んだぺぺが本来のミゼラブルで狡猾で愛らしいイメージを取り戻しますように。
知らなかったこと、そして情報量の多さに圧倒されました。アメリカのことは知らないけどヨーロッパ人の友達がユーモアでポストしている動画や風刺画に、よくトランプとセットでぺぺが登場することが多かったので私自身もぺぺを勘違いしていたし、ネットのイメージにもろに影響させられていたことを知りました。
作者自らがぺぺのイメージの氾濫に絶望し、本来のぺぺを殺し、お葬式をしたことからも現れている通り、自分の生み出した愛されるべきキャラクターが、ナチスや人種差別を投影してヘイトシンボルとして世間に認知され、利用されるのはとても胸が痛いし、その中にアメリカ社会の根深い闇やネット社会の情報の独り歩きの恐怖などさまざまな問題が浮き彫りになった作品でした。
まさかADL(名誉毀損防止同盟)からヘイトシンボルとして認定されてしまうなど本当にひどい話だと思う。たけれど、一旦ネットで拡散されて、世間に認知されたイメージは簡単には覆せない。そこが一連のぺぺ騒動において改めて、世間にその恐怖を知らしめるきっかけになったのではないかな。
決して主張が強くない作者マットが本来のぺぺのミゼラブルかつ狡猾な表情で愛されるキャラクターのイメージ奪還に乗り出す決心をしたのは賞賛されるべき勇気だと思います。香港の民主化運動でぺぺが平和や愛を繋ぐシンボルとして使用されているのは全然知りませんでした!一度は死んだぺぺが本来の悲しげで狡猾でなお愛されるキャラクターとして息を吹き返すpepe with love運動がもっと加速するといいですね。
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