カイト

彼女来来のカイトのネタバレレビュー・内容・結末

彼女来来(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

幸せの絶頂を表したようなオープニングから始まる今作
そこからの夕日の中での入れ替わりシーンはホラーにしか見えなかった
不条理と不愉快さを表したような暗い映像が続く前半
そんな中、彼女との思い出の曲を鼻歌しだしてからの急なカメラワークなはびっくりした
まれに見る表現でより不安にさせられた
両親を玄関で見送るときのマリの「はい」と返事するセリフには背筋が凍った
それに引き続きキスシーンはもはやホラーだった
この状況で誰かにすがりたい気持ちは分かるが見ているこっちとしては恐怖でしかなかった
久々にマリが戻ってきて何か飲むからの事後シーンの安堵した紀夫の表情にはゾワっとするけど、そう収束するのもしょうがないとも思う

問題は2年後に飛んでからで
オープニングの幸せの絶頂をここでマリと反復するのはもはや狂気
反復が多い映画だとは思っていたが、ここまでとは‥
画面は幸せいっぱいなのに見ているほうの感情はぐちゃぐちゃでゾワゾワが止まらないのは不思議な映画体験だった

ラストの眠る彼を見つめ続けてからの振り返るでの終幕はその先が想像できて好き

終始、起きている事は単純だが複雑な心情からは脱せられない
感情の揺れ動きを楽しむ作品

いなくなった茉莉より近くにいてくれるマリを選ぶ
単純だけど複雑な人間らしい終わり方だと思う
ただし、心のざわつきは止まらないが‥
カイト

カイト