先に記しておくと、私は伊坂幸太郎の原作が
かなり好きだと言う事。
原作であるマリアビートルは、電車という狭い空間での出来事が
登場人物それぞれの時間軸で進んでいく同作家お得意の構築的な群像劇である。
各キャラクターも非常に魅力的で特に機関車トーマス好きの
レモンはお気に入りのキャラクターである。
電車という限られた空間が舞台である事、
またキャッチーな内容も合わさって映像化は前から期待されていたのではないか。
個人的には映像化は構わないが、
原作の魅力の一つである時間軸の表現が難しいのではと感じていた。
そこで今回の映像化である。
思い切って天道虫を主人公にしたのは良い決断だと思う。
下手に群像劇にしたら映画として中途半端なものになりかねない。
ただし今作自体の評価は厳しいものになってしまった。
日本の描き方が酷いのは予想通り。
受け入れた訳ではないがもう慣れてしまった。
ウルヴァリンにせよエンドゲームにせよ
そのひどい空想ジャパンの中には必ず真田広之がキャスティングされているのも面白い。
彼はセリフからアクションから何もかも意見は言わないのか。
だから重宝されるのかもしれないが。
それにしても構築的な原作を無視して良くもこんな大雑把な作品にできたものだ。
画やアクションシーンもハマらなかったが何よりも脚本が良くない。
音楽も酷かった。
それぞれ人物の良さがまるで出ていないし、このつまらなさは何なのだろう。
はっきり言えるのは原作を知っているのあれば、評価が厳しくなる事と、
知らなかったとしても楽しい映画では無いのではないかという事。
原作から大幅とんでも改変したラストも安っぽかった。
残念。
今思うと同じ電車(機関車)が題材の鬼滅の刃無限列車編はよく出来ていたな
。
バッドバニーが出てきたのはびっくりした。
最近は原作至上主義にならないように気をつけているつもり。