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ブレット・トレインのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

「大丈夫か、ハリウッド」
劇場を出た私の第一声はそれだった。映像、脚本、演出、音楽、そのどれを取っても中途半端だった。非常に残念だ。決して日本描写がどうのという話ではない。この物語において日本像が正しいかどうかはさして重要ではないからだ(とはいえ日本人が観るとどうしてもツッコミポイントが多発してしまい、結果的に本線の気を逸らすギミックになってしまっているのだが…)。
うーん、なんだろう。この物足りなさ。要出典だが、一応予算は90億のよう[1]。倍以上の予算が組まれている作品と比較するのはフェアじゃないかもしれないが、エンタメとして映画を観るなら『グレイマン』『タイラー・レイク -命の奪還-』の方が百倍マシだ[2]。海外の批評家からも「見切り発車的[3]」「時代に逆行している[4]」等々、散々な有り様。これは非常に由々しき状況だと考えるべきだ。劇場よりサブスクの方が高価値な体験を提供している。サブスクの台頭、そして劇場との逆転が叫ばれて久しいが、本作でその一端を垣間見た気がしてならない。無論、n=1の話でしかないので、これを全体論にする気は毛頭ないのだが、どうにも嫌な予感がする。個人的に映画館という空間でのアナログな体験価値が大好きなので頑張ってほしいからだ。「負けないでくれ…そのためにも頼むから中途半端な仕上がりでハリウッドづらしないでくれ…。」が本音。
(閑話休題)
まー悪いことばっかり言ってもしょうがないので好きだったところも。とにかく真田広之がいつも通り格好いい!彼の殺陣が拝めるだけでこの作品を観る価値があると言えますね。それに尽きる。

後出しジャンケンみたいで気が引けるけど、そもそも伊坂幸太郎の小説が好みじゃなかったりする笑 『ゴールデンスランバー』は映画も小説も好きなのですが!『ブレット・トレイン』での「生きてりゃ悪運ばっかだけど、頑張って生きてりゃいつかいいことあるよね」というテーマへのアプローチもあんまり好きじゃない。こればっかりは相性なのでしょうがないのである。同郷なのにね。


参照
[1] HTE RIVER, 伊坂幸太郎『マリアビートル』ハリウッド版の製作予算は9,000万ドルか ─ ブラッド・ピットら豪華出演, https://theriver.jp/bullet-train-budget/
[2] MIXON, Netflix、製作費2億ドルの超大作『グレイマン』に大きく賭ける, https://www.axion.zone/netflix2/
[3] Rebecca Harrison, Bullet Train: mind the gap between its ears, 5 Aug, 2022, BFI, https://www.bfi.org.uk/sight-and-sound/reviews/bullet-train-mind-gap-between-its-ears
[4] Eric Francisco, BULLET TRAIN PROVES HOLLYWOOD CAN STILL MOVE BACKWARD, 2 Aug, 2022, INVERSE, https://www.inverse.com/entertainment/bullet-train-review-brad-pitt
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