戦後のギャング映画は制作環境も相まって、ノワールより周縁に追いやられてる印象。目線を合わせず、虚空を見つめるバリー・サリヴァンのコミュ障ぽいキャラクターが妙にリアルでよかった。

ギャンブル中毒者が借金しにきたり、2000ドルのアイスクリームマシンを守るために裏切ったり、7ドル80セントのデート代を惜しんだり、みんな小物だし金銭感覚が庶民的なギャング映画って新鮮。

尾行シーンの見事なズームアウトからの、被写界深度の深いショットが白眉。別れを告げた後も最初と同じ場所に留まり続ける動線演出まで完璧。
このシーンだけルドルフ・マテが撮ったと言われても信じるレベル。

レストランの口論シーンとかも普通に撮ればいいのに、画面のインパクトを強めるためだけにやたらクレーンショット(あと前後の動き)が多用されているのも面白い。

キングブラザー兄弟。
ナオンに入れ込みすぎて、何もかもに対処できなくなるギャングもの。入れ込みすぎてすべてが終わり切っているところからはじまる。

好きな人の幼少時の写真と寝顔を、延々見較べるの、よく考えると頭おかしい。

とにかく浜辺のシークエンスが見所すぎる。好きなナオンと主人公は浜辺に行くのだけれど、そこは別撮りの海と明らかにスタジオに作られた砂を集めた一角をウロウロする主人公のショットから成り立ってる。ヒッチコックの『鳥』みたいな明らかな模型の鳥がスクリーンプロセスの海を飛ぶのが映されて、それをわざとらしく首を左右に動かして追う二人。
違和感しかなくて、当時これは"込み"で見られていたのか気になる。そりゃ『四つ数えろ』みたいな映画作りたくなる。
浜辺の隅みたいなところで他のギャングに殴られて画面がヘロヘロになるところも何故か主人公の顔がヘロヘロになる。主人公の愛されなさと愛されなさからくる発狂がすごい。『ソーダークザナイト』みたいになるんじゃなくてただ主人公がモテなさを自覚して死んで終わる。
「何遍も恋の辛さを味わったって不思議なくらい人はまた恋に落ちていく」

• #Bノワール

色々なジャンルの演出でノワールでパッキングされた本作、ノワールやギャング映画を期待すると(このBOXやタイトルからして期待しない訳ないのだが)肩透かしを喰らうが上手いと思った。特に急な雨のモブシーンなんかパニック映画の演出。

• #ブロードウェイ
• #ギャング映画傑作選VOL.1
• #宅鑑