映画『戦火のランナー』を特別先行オンライン試写会にて鑑賞。
数奇な運命というのも様々あるが、本作のグオルの人生もまさに信じられない人生だ。
激しい内戦が続くスーダンで、9人の兄弟のうち8人が殺されたグオルは、走って戦地から生き延びる。
難民キャンプからアメリカに渡ったグオルは、ランナーとしての才能を見出され、陸上選手として注目を集めることに。
オリンピック出場への標準記録を切り、ロンドン五輪への出場が期待されたが、そこに大きな問題が立ち塞がる。
この辺からIOCの高飛車な態度にイライラ。だって、内戦後、新しくできた「南スーダン」には、国内オリンピック委員会がないという理由で、グオルは出場できない。どうしても出たいのなら、兄弟を殺した「スーダン」側の選手としてなら出場してもいい、と。なんて酷い裁定!
結果、グオルは特例で「個人参加」が認められるが、ユニフォームは無地の白とされ「南スーダン」を名乗ることはできない。
それでも「大丈夫、祖国は心にあるから」というグオルの言葉には胸を打たれる。
走るグオルを待っていたのは南スーダンの応援団。できたばかりの小国だが、オリンピックという舞台で走るグオルに、彼らは祖国への誇りを感じるのだ。
「分裂している国をひとつにできるのはスポーツのヒーローだけ」という言葉も出てくる。そんな単純なことではないだろう、とも言われそうだが、本当に生きるか死ぬかという日々を送っている人々に、スポーツがいかに大きなチカラを与えているか、ということはリアルに感じる。
スーダンの貧しい家庭に生まれ、命からがら逃げ延びた子供が、一流アスリートとなってオリンピックを走り、IOC を動かし、国を動かす。
不屈の闘志と大きな夢を持ったグオルの半生のドキュメンタリー。グオルは夢を実現させるために、まだまだ走り続ける。
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