しん

戦火のランナーのしんのレビュー・感想・評価

戦火のランナー(2020年製作の映画)
3.0
色々な方の推薦コメントには、「感謝」や「心」、「希望」といった言葉が並んでいますが、むしろ本作は「一人の人間がナショナリズムを体現したときの過大な重圧と悲哀」の物語ではないでしょうか。

南スーダンという新しくできた国家を体現する「英雄」となった主人公は、自らも強くその事を自覚しています。戦火から逃げるための走りから、国を背負うための走りへと、彼の走りの意味が変化していきます。それは彼にとって幸せだったのでしょうか。後半の彼が抱いた苦悩や母国のオリンピック委員会との対立は、そう簡単にはいかない実情が見え隠れします。

本作の監督は、まさにこのライフヒストリーを成功譚として語りたいようですが、意図に反してその苦しさが語られる物語になっている気がします。意図と違うかもしれませんが、楽しめましたので3.0です。
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