ミシンそば

マルメロの伝言のミシンそばのレビュー・感想・評価

マルメロの伝言(2019年製作の映画)
3.4
この邦題は若干踏み込み過ぎている感じもする。
英題は「父」だが、最後まで観ると随分無粋なことをしてくれたなってこの邦題は思わせてくる。

後悔やそれに伴う慙愧と言うのは、兎角人の行動を狂わせるもので、この映画の家父長意識丸出し・母親がいないと何にもできない(一人でも寝れない)ヴァシリならばなおの事。
息子のパヴカもパヴカで神経質で、昔気質すぎるヴァシリの癇に障ることをやってるなぁって感じ。
そのヴァシリの狂気と、妊娠中の妻に対してウソを重ねる(本人は良かれと思ってなんだろうが義母の葬儀さえ伏せる)パヴカ両者の言動に辟易させられるが、横道に逸れて逸れて逸れまくる様は縋るようで痛々しい。

マルメロと言う果物は日本人にはそれほどカリンの実のような果物で和名はずばりセイヨウカリン。
パヴカの妻がマルメロのジャム(それも手作りの奴)を食べたがっていることは映画の軽い要素に過ぎないと思っていたが……。
(それにしても、あんなに余るほどマルメロってあるんだな)。