ねぎおSTOPWAR

マ・レイニーのブラックボトムのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

4.0
チャドウィック・ボーズマンのこれが遺作になるんですね。

2021年アカデミー賞は、コロナによって例年より少し遅れて開催されることになりました。
色々あっても、文化が継続することに感謝。

今作は・・
主演男優賞(チャドウィック・ボーズマン)
主演女優賞(ヴィオラ・デイヴィス)
衣装デザイン賞(アン・ロス)
美術賞(マーク・リッカー)
メイク&ヘア賞
にノミネート。

(受賞時は上記に印を足します)

****

舞台演劇ですよね??
原作はオーガスト・ウィルソンの同名小説。

なんの情報も持たずに観始めてみると・・・楽屋のしゃべりの長いこと長いこと!!笑
「あっ、これ『何かが起こる』タイプじゃないんだ。舞台の映画化か?」と。
となるとセリフの中に大切なものがある。
・・アフリカンアメリカンの歴史でしたね。
書きませんけど、「なんてことが起きていたのだ!!」「獣かっ!!」
・・いやTVのクンタキンテに始まり、さんざ観てきたつもりですが、いやあチャドウィック・ボーズマンが心の奥まで迫るんだもの!目の前で”それ”が行われているようでした。
随所にチャドウィック・ボーズマンの名演技がありますが、あの扉の存在(=アフリカンアメリカンにとっての・・)と、それを突き破った時の牢獄のような箱庭という虚無感の演出のなんと凄いことか!俯瞰からのアオリ映像!!

もうノミネートが全てを語っているようです。
衣装とメイクもあぁ、なるほど!

チャドウィック・ボーズマンと双璧のヴィオラ・デイヴィスの迫力!!
まったく知りませんでしたが、彼女が演じたマ・レイニーとは実在のブルースシンガーで、「ブルースの母」と呼ばれる方だとか。しかし写真は数枚しか残っていないという。
ご本人のビジュアルは映像にも少し出てきますが、酷似!!笑
たぶんこの映画化の前に舞台化の際、いや、原作が書かれた際、相当な取材が行われ、そして脚色されたでしょうからね。ビジュアルイメージも性格描写も的を得ているのでしょう。
メイキング映画で観たのかな・・当時1927年のアメリカで、南部出身の黒人女性シンガーですから、日々闘いだったであろうと。・・そうだよなあ、アルカポネでベーブルースだよ!?

今現在、まだまだ人権は侵害されているけど、彼女たちが最前線で戦ったからこその今。

それを思いながら映画の中の演奏を聴くと泣けてきます。
また、セリフの中で「黒人は楽しみながら生きる」って言葉も出てきます。ブルースだけど、音楽は笑顔なんだよなあ。



以下蛇足です。

ふと思うんですが・・

アメリカの白人はこの映画に「また反白人映画だ」なんて言うのでしょうか?
言わないですよね、心で思っているのかもしれないけど。
だからね、反韓とか反日って言葉自体もう見るの嫌だなって。
アメリカ人(イギリスほか)の奴隷貿易、その後の扱いなども、日本が朝鮮半島を植民地化し、中国と戦争をしたことも、目をつむるんじゃなくて、きちんと知るべきことだと思うんです。そこに悲惨な現実があったんだから、伝えようとすると胸が痛くなるのは当然のことです。みんなそれを乗り越えようとしているから作るんであって、それを観て「また戦争だ!」なんて人いないでしょ。・・今の日本には少しいるけど、そんな奴ら。日本会議。
とにかく人権蹂躙される黒人の気持ちには寄り添うのに韓国人は非難するのって矛盾でしかないし、極めて自分勝手だと思うのです。

プロデュースのデンゼル・ワシントンは、ハリウッドでの黒人俳優の草分けシドニー・ポワチエと同じように地位獲得のために頑張ってきた方。当然心の同士と言うべきマ・レイニーのことを知り、映画化せねば!と思ったのでしょう。白人を非難するんじゃなくてマ・レイニーを称賛する意図なんだろうなって。

「知る」ってところからだと思うんです。
ユダヤも、ドイツも、ティモールも、中東も、各国政府のやってることも・・
だから、忖度する映画製作、作らないプロダクションこそがダメなんじゃないかと。

・・すみません、面倒くさいこと言って。