たじたじ

マ・レイニーのブラックボトムのたじたじのレビュー・感想・評価

3.5
抽象的な話だったり回想なしの自分語りだったりが多くて舞台みたいな映画やなって思ったら、戯曲が原作で納得。舞台の演出って結構考えないとわからないよね…。

映画っぽい演出はなく舞台を見てる感じだから、ちょっと途中で眠気が来たものの、マ・レイニーとレヴィーの白人へのアプローチ方法が正反対で、でもそれぞれ背景があってのことだから、人種差別について考えさせられた。

マ・レイニーは終始えらそうだけど、それは白人が目的を達成したら差別的な態度に戻るから。逆にレヴィーは迎合的だけど、それは白人を油断させて逆転を狙っているから。どういうアプローチが正解なのかは断言できないけど、暴力はダメっていうのは間違いないし、結局暴力に走るしかないのが現状っていうのは理解できた。

「扉」や「靴」などの小道具が黒人の自由を象徴しているとわかると、もう一回見直したくなる。特に、傲慢なのに繊細な一面も見せたヴィオラ・デイヴィス、若者ならではの浮つきの裏に潜む闇を表出したチャドウィック・ボーズマンの演技は圧巻。しかもこれが遺作なんだよね、悲しい。

「踊れる曲が流行り」「白人が曲をパクる」あたりは『ドリームガールズ』を思い出した。この映画を見て、人種差別だけでなく、ブルースの起源などについても興味を持つきっかけになった。
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