駄作という訳ではないですが、この映画を個人的には映画とは言いたくないです。その理由を解説します。
まずは映画と言いにくい理由ですが、ストーリーが存在しないことが理由の1つです。ドキュメンタリー映画なので仕方ないと言う人もいるかもしれませんが、決してそんなことはないです。1つの社会のルールを取り上げたドキュメンタリーを出すのであれば、「憲法修正第13条」では黒人が差別されている具体例を上げたり、最終的な結論にたどり着くまでに、Aという問題があるのでそれによってBという事象が引き起こされてと話が筋道だっていました。
また、1つの場所を題材にした作品としても、「娘は戦場で生まれた」では戦争が始まってから終わるまでの戦いの様子を長期渡って時系列順に追い詰められていく姿をリアルに撮影しています。
しかし、この作品では教育によって成長していく子供の変化を追う訳でもなければ、時間の流れを忠実に追う訳でもありません。ただ子供たちが知育用の道具を使っている様子を断続的に見せられるだけでした。それが悪いとは言いません。モンテッソーリ教育の理念がそれであることを否定するつもりはないですが、それを紹介するのは勉学の場で公開する教材であって、映画館で上映する映画ではないと思います。
あと、教材としては有用だと思う一方で映画ではない理由ですが、やり方を紹介している一方で、具体的なデータを紹介していないんですよね。残酷ではありますが、モンテッソーリ教育を行った子供とそうじゃない子供で比べたり、教育を行う前と後で変化を出したりと、教育法が有用であると言うことを証明する何かがないと、見てる側もその方法がすごいとは言えないと思います。
一応映画として良かった部分もあげておくと、掴みはけっこう好きでした。この映画を売り出す相手は恐らく子供を持っている親や教育者だと思うので、それが共感しやすいような入りになっていました。それに、そこで投げかけられる問いがあるのですが、それの答えがすごく難解だと思ったのもけっこう映画でその答えを探すみたいで面白かったです。
モンテッソーリ教育の存在を知ることが出来ましたし、勉強になった部分はあります。ただ、映画としてみる事は出来なかったです。規模的にはネットフリックスオリジナルとかで家で見るようにしておくとかがちょうどいいのかなと思いました。知識を身に付けられますし、別にみる価値がないとは思わないですが、映画だとは言えないので、点数は付けないです。