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TOVE/トーベのcinecoroのレビュー・感想・評価

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)
3.5
トーベ・ヤンソンと言うとムーミン谷に登場しそうな海辺の小屋で自由気ままに創作をしていた印象があったので、本作で描かれていた父親との関係や、節度を保っていられなさそうなパーティーのある生活は意外だった。非常に愛に貪欲であったらしきトーベに、あのような唯一無二の、独特の死生観を漂わせた物語が創作できた背景がよくわからなかったが、同性愛が罪であった時代にマイノリティであったこと、芸術家として評価されなかったことが、決まりきった物事に固定されない生き方や性別の曖昧な存在、喪失を抱える存在(親友の旅立ちを幾度も経験するムーミントロールを筆頭に)として作品に影響していたのだろうか、と想像する。ムーミンを改めて読み返すと(今寝る前に岸田今日子先生の高みを目指して読み聞かせをするのがブーム)挿絵の多さに驚かされる。
当時も大人気だった様だからその仕事量は想像を絶するがそのストレスを支えて生涯を共にしたトゥーリッキ(そっくり!)との未来を感じさせるところで終わるセンスは好き。
トーベを演じていた方がトーベに宿っていた少女性を大いに感じさせてくれて良かった、というか私が思っているフィンランド顔そのものだった。
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