あなたの思っているムーミンと、原作者のムーミンとが、いかに乖離(かいり)しているか、さぞ難しかったであろう、この人の半生を映画化するなんて。(案外日本人はムーミントロールがアニメではなく童話である事を知らない)
「ビジネスチャンス」「費用対効果」「コマーシャリズム」「コスパ」「キーワード」「情報発信」「アップデート」「ターゲット」、実に嫌な言葉である。
しかしながら皮肉な事ではあるが、トーベが最も忌み嫌う、これらのものによってトーベは生かされて、今も世界中で愛されている。
(この辺りの事情については岡田斗司夫の解説に詳しい)【YouTube 岡田斗司夫 ムーミンで検索】
いろんな才能を持った作家ではあるが、ここではトーベの中に潜む性愛における「少年性」を主に描き、ドンピシャな俳優さんとその演技によってそれが的確に表現されている。幼児あるいはその類(たぐい)の人に理解できる映画ではない。
キッチリおしまいまで観た後で、またしみじみと眺めたくなるポスターの出来が良い。