Nish

キャラクターのNishのネタバレレビュー・内容・結末

キャラクター(2021年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

「さほど捻りのないサスペンスを巨額予算で撮りました!ドン!」って感じで期待値を裏切りも超えもしない実家のような安心感があります。これぞ邦画

江野スミの絵が見たくて観にいったから筋書きはどうでもいい
想定外に良かったのはfukaseの演技マジのヤバイ人だった

▼清田…!
小栗旬から死亡フラグの匂いがプンプンするぜ…と思ったらもう案の定だった。暴走族上がりのイイヤツは死にがち。小栗が殺されるシーンのホラー度が高くてとても良かった。前の席のおばさんが大きめの悲鳴をあげていた
藤本タツキの「理解できない人がこの世でいちばん怖いっすよね」を思い出した

▼主人公のこと
なんかもっと菅田将暉に葛藤させて欲しかったな。いろんなことをサラッと諦めたな

「自分の作品の模倣犯で人がどんどん殺される。これ以上描けば被害が増えるかもしれない。描いちゃちゃいけない」
っていう善性からくる苦しみと

「苦労の末にやっと生み出せた、二度と産めないかもしれない自分史上最高のキャラクターが、作品が、ひいては安定した生活が失われる」
っていう利己的な絶望

両者の対比と迷いと葛藤にもっとフォーカスして欲しかった気がする

▼fukaseのこと
fukaseの演技は最高だしfukase自身が本当にヤバい人なんじゃないかって不安になるレベルの入り込み方だったけど、「戸籍のない子供」「自分が誰かわからない」みたいな、犯行の動機や狂ってしまった原因のかなり大事な部分をめちゃくちゃ流して最後30分で駆け足でご都合解説されたのが腑に落ちない。
コミュニティの話がキモなんじゃないのか…

▼キャスティングのこと
中村獅童と小栗旬が色気のあるお兄さんで良かったし高畑充希って本当に演技がうまいな…って感動したしキャストは凄い

中村獅童が霊安室で見せる表情が今作のNo.1最高ゲキエモシーンだった。大事な相棒が死んでも大の大人を無闇に泣かせない演出は凄くイイナと思った。
ハードボイルド!

▼全体
題材や散りばめられた要素はとても面白いのに、キャストは最高の仕事してるのに、エノスミの絵の迫力が素晴らしいのに、あの長尺であの予算があるならもう少しうまいこと料理できたんじゃないかな…って消化不良

テレビ局制作の邦画は「全国民向け・分かりやすい・みんなに優しいサスペンス」になってしまうから面白み≒尖りが全部削られてしまうのが残念
Nish

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