散歩

BLUE/ブルーの散歩のネタバレレビュー・内容・結末

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「頑張ればいつかかならず報われる」とか「奇跡はきっと起こる」なんてこと、そうそうあるもんじゃない。でも、いやだからこそこの映画は美しかった。敗者たちの哀歌ではなく、挑戦者たちへのラブソングでした。瓜田の飄々とした姿とその裏に秘めていたもの、持つ者であるがゆえの小川の苦しみとあがき、「あれ?こいつが主人公なんじゃね?」と思ってしまいそうな第3の男・楢崎。そして彼らの周りにいる人たち全てにグッとくる場面があって107分の映画によくまとまってるなぁって。正直、自分が千佳の立場だったら「う~ん・・」って思うところはあるし、「こういう映画のヒロインって男の願望みたいなの絶対入ってるな」とも感じたりもしましたが予告編にもあるひっぱたくシーンはやっぱり良いんですよねぇ。あと赤い髪のアイツとかもね。
吉田恵輔監督は相変わらず人の可笑しみとイヤ~な感じの距離感が絶妙ですね。序盤にイラッとくるやりとりを見せることに関してはもう名人芸と言っていいかも。あと今作は明確に描かれない部分に、これまでの作品以上にハマッて思いをはせてしまいました(3人の関係や映画が終わった先とかは特に)。楢崎を「こいつが主人公なんじゃね?」と思ってしまいましたが、思ってしまった先の物語の展開がまた「そうきたか!」って感じで、あの静かな熱さに思わず落涙しそうになって、スポーツ映画としても純粋に面白かったです(ボクシングシーンも迫力があって良かった!)。

見る人が見ればただの身勝手だったり悪あがきなのかも知れない。でもやっぱり、こういうドラマ好きなんだよなぁ。
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