カイ

SLEEP マックス・リヒターからの招待状のカイのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

イマイチ捉え所の無かったMax Richterのアーティストとしての姿勢が見えて、予想以上に楽しかった。ピアニスト特有の理論派で権威的な人物を想像していたけれど全く逆で、かなりパンクな精神で音楽に取り組んでいる事がよくわかる。生育環境は決して良くなかったという告白から始まり、子どもたちの世話の為に夜に作曲していたり、決して裕福ではないのに何百万もするモジュラーシンセを導入していたり、共演者への支払いをケチって「Blue Notebooks」を一発録りしていたり、簡潔なメロディを複雑化する音楽へのアンチテーゼと称したり、お金の為に映画音楽を積極的に手がけたり(それで「コングレス未来学会議」や「メッセージ」の質の高さ…)などなど、赤裸々に自分の内面を曝け出していて好きになった。「Sleep」のコンセプトも中々狂っていて、8時間に及ぶ低周波音をベースとした作品で「覚醒」と「夢」の狭間を行き来するというけれど、要は「覚醒」状態に「夢」状態を持ち込むというトリップ体験で、エンドロールの観客のコメントが完全にキメた後の人のコメントなのが可笑しい。益々この人を応援したくなった。
カイ

カイ