SLEEP マックス・リヒターからの招待状のネタバレレビュー・内容・結末

「SLEEP マックス・リヒターからの招待状」に投稿されたネタバレ・内容・結末

イマイチ捉え所の無かったMax Richterのアーティストとしての姿勢が見えて、予想以上に楽しかった。ピアニスト特有の理論派で権威的な人物を想像していたけれど全く逆で、かなりパンクな精神で音楽に取り組んでいる事がよくわかる。生育環境は決して良くなかったという告白から始まり、子どもたちの世話の為に夜に作曲していたり、決して裕福ではないのに何百万もするモジュラーシンセを導入していたり、共演者への支払いをケチって「Blue Notebooks」を一発録りしていたり、簡潔なメロディを複雑化する音楽へのアンチテーゼと称したり、お金の為に映画音楽を積極的に手がけたり(それで「コングレス未来学会議」や「メッセージ」の質の高さ…)などなど、赤裸々に自分の内面を曝け出していて好きになった。「Sleep」のコンセプトも中々狂っていて、8時間に及ぶ低周波音をベースとした作品で「覚醒」と「夢」の狭間を行き来するというけれど、要は「覚醒」状態に「夢」状態を持ち込むというトリップ体験で、エンドロールの観客のコメントが完全にキメた後の人のコメントなのが可笑しい。益々この人を応援したくなった。
とにかく心地よかった何も考えずにただリラックスできる。夜の高層ビルと音楽が良い。忙しい日々を癒してくれる
ナレーションがもう少し少なくても良い

実際に体験したわけじゃないけどこのコンサートは旅してる感覚になりそう。8時間の音楽が旅路でみんなそれぞれ違う景色を見る(感じる)けど最後には同じ場所に帰ってくる感じがした。
朝の1日が始まる環境音とコンサートの音楽がミックスする絶妙な時間に目が覚めると神秘的やろなぁ

寝過ごした人は拍手で目を覚ますんかな、そうだとしたら特別な体験になると思う
マックスリヒターがSLEEPについて「生活の速度が速くなっている現象を再検討するための作品」と言っていたのが頭に残ってる、毎日仕事でてんてこ舞いになって目まぐるしすぎ、五条悟が領域展開してる?ってくらい情報が終わらない毎日だから実感としてめちゃ理解できる
企業にとって価値ある効率化でも個人にとってはどうなのか、ひいては長期的に見た場合に持続可能な効率化なのか、と言う視点に立っていてマックスリヒターマジ人して信用できる
そんでその仕事の実現に2年半かけてるのが説得力ありすぎで好きでした
敷居が高くて分かる人にしか分からない現代音楽が聴衆と分断しているから今一度共通言語としての音楽にたち帰るというテーマもあって、その為の睡眠時の脳波と同じリズムの再現であり、胎内を再現する100Hz以下の低周波であり、軸がしっかりしてて説明が簡潔だからとっつきやすくて魅力的、理想的な芸術のあり方のひとつだな、と思った
演奏ではなくて寝ている人たちこそが主題であると言う考え方もその軸に一貫していて気持ちいい
観るべし

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