竜どん

明日の食卓の竜どんのレビュー・感想・評価

明日の食卓(2021年製作の映画)
3.2
石橋ユウという同じ姓名の息子を持つ三者三様の母子の物語。三つの家庭が絡み合うミステリーサスペンスを想像していたのだが、彼等の動線が重なることは無く社会映画の趣が強い。
親の側から見た理想の我が子・家庭、子供の世界から感じる親への希望や不満、それぞれの視点から見える現実は各々にとっての正義が合理性がそして真実があり、胸に突き刺さる。甘受してきた幸福が虚構であった時、些細なすれ違いがお互いのバランスを壊す時、子供の真の気持ちを知った時、親はそれでも無償の愛を注ぎ続けることが可能なのか。「抱擁」が全てを解決する手段にはなり得ないことは分かっているが、言葉では言い尽くせない想いをお互いに吐き出せる一面を持つこともまた事実。抱き合える余力がある母子の姿に一片の希望。各々の視線の先に伸びる飛行機雲が、願わくは同じ方向を向いている未来を思い描きたい。

5/29イオンシネマワンデイパスポート二本目。
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