本作の劇場公開時、私に与えられていた家庭内盟約が『劇場映画は月に1本まで』という今より厳しいものであった（今は月2本）。その時に観ようと思っていた映画はゴジコン、ポンポさん、ピーターラビット2、そして本作だったと思う。当時その中から劇場鑑賞に選んだのはポンポさんだった。ポンポさんも非常に面白かった。この選択に後悔はしていない。しかし、それでもどうしても本作のことが頭から離れなかった。そして今日、念願が叶った。
『なんでもない男』から『何者でもない男』へ。家でも仕事でも不測の事態に直面してもパッとしない冴えない中年男性が、ある出来事をキッカケに覚醒し、ムカつく奴らをボッコボコにブチのめす。このシンプルなストーリーを見せたいがために他の余計な要素を徹底的に排除し、90分という短尺に見事収めてみせた。『あーあ、中年のおっさんがムカつく奴らをボッコボコにする映画をサックリ90分で観たいなァ〜』という人への最適解となった。本編ラストの奥さんもなかなかに素敵。
こういうネタの主人公といえばドンパチをやってもあまり怪我をしないのがセオリーだと思う。しかし本作では覚醒の原因となったバス内大乱闘スマッシュブラザーズでさえそこそこ大きな傷をもらう。最初こそ一人軍隊のランボーを想起したが、全然そんなことはなかった。強いとはいえ至って普通のおっさんである。ランボーが異常なだけ。金型工場をトラップだらけにするのはちょっとランボーっぽかった。お父ちゃんの『ダスビダーニャ〜』はかっこいいし可愛かった。ああいう可愛いジジイ大好き。続編は果たして出るのだろうか。出るのであればぜひとも観たい。
それはそうと、火曜のゴミ出しはなんとか成功させてほしい。今頃玄関はゴミ袋で溢れかえっているのではないかと心配になる。
