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Mr.ノーバディのNARUのレビュー・感想・評価

Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)
4.1
自宅と職場を往復する日々の地味な男が、ロシアンマフィアと銃撃戦を繰り広げる話。

独特な編集でテンポよく紡がれる映像と、地形や小道具を活かしたリアルなアクション。
ここまでならよくあるアクション映画だが、本作には他とは違う大きな魅力が3つある。

1つ目は程よく崩される予定調和。
各アクションパートに起承転結が設けられおり、戦闘の形成が「転」で一度危うくなる。しかし「結」で痛快に決めてくれる安心感と爽快感のカタルシスが大きい。

2つ目はリアリティ。
まず主人公が全能ではない。程よく失敗するしダメージも喰らう。
美術面においても、人間の肉体破壊や銃器などの創りこみに強いこだわりを感じた。

そして3つ目は全編に満ちた「皮肉」である。
狭いバス内や工場内での戦闘、死に際の人間との会話など、その場その場でのアクションや言動が滑稽に見える皮肉が存分に詰め込まれている。

これら3つが見事に融合し、リアルなのにユーモアが漂った珍しいアクション映画になっている。ぜひ。
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