ほ

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園のほのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

とても良かった。

「青春の答えはひとつじゃない」というキャッチコピー通りメッセージ性がかなり強い。でもクレしんの作風が説教くさい作品にしておらず、とても良い。

カスカベ防衛隊も今作のみのキャラも全員見せ場も魅力もあり、しんちゃん一家や親側も良かった。おとなもこどもも楽しめる映画。
また、学園ミステリーがよく出来ていて付け爪のミスリードも上手い。

なにより本作が銘打つ「青春」のテーマが良い。青春を何かに分類したり「アオハル」に無理矢理しなくても良い。誰しもが"ただしくて間違った"青春を持っている。天クラスとカスクラスのように分類したり点数で評価する制度を破棄したのが比喩かな、と思った。
クレしんの作風だからできた映画だと思う、人間賛歌。チシオが変顔で走るのをみんなが肯定し(「恥ずかしくない、かっこいい顔」)チシオ自身も自分を愛せたところにホロリと来た。

また、縦軸であるしんちゃんと風間くんの友情も良い。誰しも幼い頃のみならず人間関係とは流動的で確かな関係などこの世には無い。小学校受験をする風間くんとは疎遠になり人間関係が自然消滅するかもしれない。でもそんなことは関係なく「今しか見えないゾ」という瞬間も誰しもあった。そこがグッと来た。

また、みさえとひろしの親側も良かった。クレしんといえば家族愛のイメージが強いが今作ではあくまで見守る側で、愛で囲むようなスタンスではなく、愛を持ってこれからを生きる子供たちを応援する。出番は多くないが少ない描写でとてもうまかった。

主題歌も良い。マカロニえんぴつの「はしりがき」は物語を踏襲する歌詞でリズムも良い。エンドロールも良かったなあ。おすすめです。
ほ