ノラネコの呑んで観るシネマ

ハウス・オブ・グッチのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.3
リドリー・スコットの「金持ちはめんどくさい」シリーズ(?)
アダム・ドライバー演じる草食系のグッチの御曹司が、レディ・ガガの肉食系女子に食べられちゃったことから、同族経営のグッチ帝国が崩壊する。
これ自体はすごく有名な話で、結末まで全て分かっている。
しかし実話では無く、「実話にインスパイアされた話」なので、映画は虚実入り混じり、グッチ家の人々の自滅への道のりを追ってゆく。
登場人物は曲者揃いで、特にジャレット・レトが怪演するパオロとか、出てきた瞬間既にヤバい奴。
一見いい人そうなアダムも、最終的にはバカ扱い。
実際経営の才は無かったらしいが、こりゃグッチ家は怒るわな。
物語的には「ゴッドファーザー」に代表されるマフィアもの話型を、ファッション業界に移し替えたもので、華麗なる一族の崩壊ストーリーとして面白く描かれている。
だが十数年に渡る物語を満遍なく描いているので、個々の出来事やキャラクターの掘り下げはやや物足りない。
アダムやジャレットの、親世代に対する沼のようなコンプレックスや、占い師を便利に使ってるものの、ガガが心の闇を深めてゆく辺りは、もうちょっとじっくり見たかった。
題材的に、単体の映画よりNetflixのリミテッドシリーズとかの方が向いている印象。
ところで他のキャラはそんなことないのに、ガガのイタリア訛りが、なぜかロシア訛りっぽく聞こえる。
昔からハリウッド映画が外国を舞台にすると、訛り英語を喋らせるのに違和感あるんだけどさ。