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ハウス・オブ・グッチのmatchypotterのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.8
新年、明けましておめでとうございます🎍🎍
また今年もたくさん映画やTVドラマ、アニメに触れられる1年でありますように。
今年は例年のペースなら映画2000レビュー来るな、さぁ行こう。

今年はこの“お家騒動”的な1本から。前から家にブルーレイがあって観ようと思ってて取っておいてたら年が変わってしまった。

“House of Gucci”。
“グッチ”の名を受け継ぐ者の伝統への重責と、変わりゆく歴史の中で生き続けなければならない生存競争と葛藤。

その渦中を“グッチ”と共に生きる1人の女。

最後の「現在のグッチには“グッチ”の名を継ぐ者は1人もいない」、これがなかなかこの映画のあれこれを物語る。

レディガガ。やっぱり彼女の存在感。
歌ってなくてもその魅力が滲み出てる。抑えられないオーラみたいなのが、本作の彼女の役にとてもピッタリ。オチを知らなかったからなおさら。

“グッチ”の名を持つ彼と出会う。最初はそんな業界のことからは離れ、彼女の実家の方で気ままに暮らす2人。
しかし、彼の家柄が彼らをほっとかず、逆に彼ら2人も徐々にその家族経営の中に“家族”として入り込み、最後は大きな衝撃に発展する。

アダムドライバー、この個性的で、彼にしかない独特のスラっとした見た目と落ち着きとノスタルジックな感じが、この業界や、静かなるお家騒動にとてもハマっている。

ある時は無垢な若者、ある時は良い夫、ある時は実業家、、、様々な経緯を1人の人間の中に潜ませててとても良かった。

潜ませると言えば、このパオロ、ジャレットレトーなのか。“モービウス”がこれか、これまたすごい変身。奇演。

家族経営で低迷を期し、キッカケも掴めない、過去にしがみついて再起の芽がない“グッチ”。
そこに関わることになった彼女、幸福を見つけたり、野心に芽生えたり、いざこざに首を突っ込んで掻き回したり、、、裏切られたり。

彼女なりに固まった傲慢で惰性化している家族経営を客観的に強きハートで夫に連れ添ってドライブかけていく。

当たり前だが、それにはリスクはあり、反感はあり、人にも恨まれる。それでもガンガン前に進むその推進力。
情熱的だが、破滅的、破滅的でもあり、自分もなかなか無傷では終われないその諸刃の剣のパワフルさ。

その豪胆な彼女が煌びやかに登っていき、外とも中とも戦う。
この最後はある意味で“グッチ”の名を継ぐ者よりも“グッチ”にこだわってるような。
彼女にはすごいパワーを感じた。

“グッチ”そのものがこの業界で長年の歴史の中で華やかな上流階級と共に生きてきて、そこからの変革も求められるまさに過渡期。

その過渡期を、口先、小手先だけではなく、根っこから覆した1人の女。
強かで、強欲で、図太く、エネルギッシュな女性。

でも、モノには限度があるのか、嫁いだとて“グッチ”の名のブランドの壁はそんな簡単ではないのか。
しかし、そこにタダで転ばず、爪痕残すパワフルさ。とても真似できない圧倒的な力強さがあった。

『アリー』の時とはまた別格な、音楽ではなく、演技の方で見せつけたガガ、スゴい。

アルパチーノ、ジェレミーアイアンズ、往年の重厚な風格を纏う役者勢に支えられつつ、そこに頼らずガガがガッツリ持ってく力強さがとても活きて映えた映画。


F:24164
M:1948
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