おーもり

バズ・ライトイヤーのおーもりのレビュー・感想・評価

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)
3.4
面白いけど、このバズはアンディのバズとは違う。それが終始モヤついた理由だ。
最近のディズニー・ピクサー作品、どれもこれも最高に面白い勢いを持っているんだけども、要素をきちんと考えると、結論それで良いの?と思うことが多い。

まず冒頭。「これはアンディが好きな映画」って。「映画」って。
その前置き必要??「映画」=フィクションです。このバズ・ライトイヤーというキャラクターは、とある俳優なのか、アニメーターなのかが作った架空のキャラクターです。って定義された事に驚いた。
そのくせ実際はトイ・ストーリーを観てきたファンからすると、全然知らん話だし。
出だしからズッコケたけど、気を取り直して本編へ。
これもノリとしては流石のピクサークオリティでとても楽しいんだけど、重箱つつくとボロボロ粗が見えてきちゃう。

まずバズのキャラクター。トイ・ストーリーで知っている初登場時のバズの通り、プライド高めで、どこか他人を見下している。
高慢にもみえる性格だけど、正義感から空回りしている姿が危うい。親身になってくれる友人がいるから成り立っているが、彼自身はその友人をないがしろにしている様にみえる。
そもそも、ライトスピードに到達する為のテストで、光速に近づく程ウラシマ効果で時間の流れが変わる。って宇宙航行の常識で、そんな事は事前に言っとけって感じだし、相対性理論・ウラシマ効果なんてスペースレンジャーの座学で学ばないんか。

冒頭から、自分がリーダー。俺こそ救世主だという自意識に支配されているキャラだという点。
同時に、昔からの慣習に囚われている。新しいモノを育てる、次世代に向けて託すという視点が欠如している点。
この2つが、バズのキャラクターに対する未熟な部分にみえる。
そして物語の最後には、1点目については成長し解消された。しかし2点目に関してはまったく成長していない。

結局彼は、自分と、自分が慣れ親しんだモノに囲まれて活躍したいだけの人に留まってしまった。
自分と同じ能力を持つ人材を育てることを拒み、結局はまた危険なミッションに対して「これをできるのは私達だけだ!」となるんだろう。「私」が「私のチーム」になっただけで本質的な解決になっていないように見えた。

その他細かい点について、猫型ロボットとか、単眼の量産型モビルスーツとかドラえもんやらガンダムの面影がチラ見えして楽しかった。
ザークの正体についてはトリッキーで良かったが、彼自身の救いを用意していないあたり消化不足。
何かしら理由つけてローブをつけてもらいたかった。
そして最後、何度目か忘れるほどのポストクレジット。まさか2を作ろうとしているのか・・・?
うーん、このバズの続きは別に・・・。アンディのバズのほうがよっぽど魅力的なバズだった。
自分はスペースレンジャー=救世主ではない。ただのオモチャなんだと認識し挫折した後、古い考えから脱却し、新しい価値観を取り入れて親友の新たな旅達にも餞別の言葉をかける。そんなアンディのバズこそが一段回成長していてカッコいい。
これが見終わったあとのモヤモヤ感の正体な気がする。