褒めたいところが50個くらいあったし、「え?なんで?」みたいなところも50個くらいある作品だった。
細田守が好きなものがめちゃめちゃ伝わってきたし、わたしも好きですよって思うんだけど…、思うんだけども、
全国350館以上のスクリーン規模でやるには突っ込む箇所が多すぎるし、その突っ込みどころの問題が大きすぎて、毎回毎回どうして周りはそれを教えてあげないの???
そこさえ直せば名作かもよ??って思う心が止められない。
そもそもの突っ込みたい…って思う所がストーリーの根幹だったりするのも、見ていて没頭できないというか。
アバターの世界で美醜を問題にしようとするのは挑戦的で応援したいけど矛盾が矛盾のままで何もしてないからノイズになってるし、美女と野獣やりたすぎて急な展開と、感情的すぎるキャラの心情どうなってんの??ってなる。
わたしは脚本(というよりもストーリー構築)がガタガタであってもアニメ的映像表現が素晴らしければ褒めたい人間なんですけど(色んな意味でのアニメオタクなので)、今作が夏の東宝アニメ(1年で1番稼ぐ事を期待されている)枠の作品ならばその事に責任は持って欲しいので、今回はやはり無しだな……とも思う。
かと言って今作、言うほど映像表現では殴られるような力強さもないんだよな。
決めて欲しい所で微妙なカットが続くので集中力も切れるし。
細田守作品を初めてIMAXで見たけど、やっぱりセルルックCGをIMAX画面で見るのはまだ数年早い気もした。
BELLEは良かったけど、すずのクライマックス歌唱シーンは手描きでも良かったのでは…。
スタッフロールすごい数のCG会社だったな……。
始まった瞬間、「え!?CGのクオリティ!?」とドキッとはするんだけど、ここがUのネット世界なんだという心理が働いて、あの表現でも許せちゃうんですよね。
2021年のデザインではないとは思うけど。
個人的にBelleが初めてUにログインして歌うシーンは、いきなり表現というかカメラアングルなのか演出なのか、他との差が凄まじくて、現実に引き戻された。
なんで素人みたいな画面が続いたんだろうか。
わざと……?
すずの初々しさの表現?
個人的にあそこでめちゃくちゃ引き込んで欲しかった。
いやでも、長年全人類に言われ続けていた「細田作品笑えるシーンが無い問題」はすごくちゃんと解決してて声を出して笑ってる人が劇場にも1人いたよ。
おもしろかったです。
あれは玉城ティナもうまかったな。
冒頭の歌唱シーンはワクワクしかなくて楽しかったし、その後のすずの人生パートはめちゃめちゃ良くて、本当にこういう表現はピカイチで上手いな!ってなった。
ネットの声が棒読みなのは、好き嫌いもあるだろうから、まぁまぁまぁ…。
手描きが多い日常パートは撮影仕上げ処理も完璧で見応えあった。
いやしかし、雨雪が嫌いすぎてバケモノを劇場に行かなかった自分が、もう1度くらいは映画館行こうかなって思えるくらいには良い作品でした。