Violet

竜とそばかすの姫のVioletのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.8
全体的にはわたしは面白かったと思う!
なによりも主人公の女の子を演じた中村佳穂さんの声が美しい!!
そして親友のヒロちゃん役を演じたのがYOASOBIのボーカルの子だと知ってびっくり...上手!

ただ、けっこうごちゃごちゃしている印象は否めないので、一体この作品がどこに向かっていて何を伝えようとしているのかがわたしにはイマイチ掴めなかったかなあ。
もともと、「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったらどうなるんだろう」という発想のもと生まれた作品とのことで、その発想だけで突っ走った感は否めない。
なんだろう、スコア3.8つけてるし、面白かったんだけど!!なんか!!惜しい!!!笑

今やSNSとはもう一つの世界。
わたしも映画のことを自分の好きなように書きたいからと匿名でFilmarksをやっているし、多くの人にとって自分を解き放つ場所は現実世界だけではないのが現代だと思う。
賞賛の声があれば誹謗中傷があるし、
見ず知らずの人から叩かれることだってある、騙されることもある。
映画などの作品にすると、どうしても闇の部分ばかりに目を向けられがちなそのもう一つの世界でも、けれども救われることだってあるのだ。
生身の人に触れ合える現実は大切だ。
けれど、自分を解放できる世界を大切にすることもまた、自分の救いに、誰かの救いに、繋がるのかもしれない。


✂︎---以下ネタバレ----------

自分でも引くくらい長くなってしまった…






























▼竜の正体と作品のテーマについて
わたしは映画を見ながら勝手に「これは忍くんが竜だと思わせておいての、お父さんでしょ!?だからあんなにも竜が気になるんだ!」とか思っていたので笑笑、竜の正体にはちょっと拍子抜け。DVなんてすごくすごく難しいテーマだと思うから、あんなにあっさり完結させて良いものかどうか...。わたしはあれであの子たちが「救われた」なんて絶対に違うと思う。心に負った傷は癒えないし、歌を介して仮想世界で出会った田舎の女の子が会いに来てくれただけでは、現実的に彼ら兄弟は助からない。
助けるってなんだろう。それは想っているだけではどうしようもないことで。難しい。
個人的にはこの竜の正体でテーマがブレブレになったと思う。

▼アニメーション
もちろん大画面で見る価値のある美しい映像ではあったのだけれど、個人的アニメーションの最高峰であるディズニーとか、最近公開されたものだとシンエヴァとかに比べると驚きはなかったかな(まあディズニーとかは3Dアニメーションで本作は2Dだから仕方ないのかもしれないけど)。でも田舎の風景や自然は美しかったし、わたしは細田守監督の描く人物が可愛くて好きなのでそこも相変わらずよかった!

▼仮想世界〈U〉
仮想世界について色々と突っ込むのは野暮かもしれないけれど、それでも言いたい!設定がざっくりすぎではないかと!笑 なんでもありなんだなーっていう感じだったし、何よりも「ログアウトしたら良いんじゃないの?🥺」って何回も思ってしまった!!!笑笑

▼登場人物
みんなすごーーく可愛くて好きなんだけど、すずちゃんの性格はブレブレな感じがするし(めちゃめちゃ内気だと思ったら1人でも突っ走っちゃうところとか)、お父さんや忍くんについてももっと掘り下げてあげても良いのではないかと思った。すずちゃんが何故あんなにもお父さんとの接触を避けていたのかもわからないし、忍くんは文句なしのイケメンで性格も超かっこよくて魅力的であるが故になんとも微妙な目立ち方で残念だった。

親友のヒロちゃん、ルカちゃん、カミシンの設定はわたしは良かったと思う!ヒロちゃんはその年頃独特の特徴をよく捉えているというか、あーこういう子いるだろうなあって思った。笑 自分が傷つかないために他人の悪いところをすぐに見つけて毒舌を吐き、自分が正しいと思い込んで勝手に他人を評価する。ルカちゃんのことも何にも知らなかったくせに「あの子のそういうところが嫌いなんだよね」って言ってて、でもエンディングではすっかり仲良しになっている。向かい合って関わらないとその人のことなんてわからないのよね。
ただ、ヒロちゃんの言い方や考え方はすずちゃんをかなり見下しているように感じてしまった😱まあすずちゃんのことが心配なんだろうけど…。親友ならもっと信じて褒めてあげようよ!笑
ルカちゃんはただただ良い子で好感🥺💓かわいい
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