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竜とそばかすの姫のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

「音楽」ではなく「歌」と終始いい続けているのは象徴的だった。音の連なりや演奏、録音ではなく歌うことや歌い手の人間が重視されることはそのまま本作の脚本・演出の方向性とシンクロする。冒頭のベルの歌唱シーンの長すぎるワンショット、忘れてもよいモブのアップの多さ等々。せっかく石橋や河岸、駅といったシーンの反復も全て舞台以上の意味を持たない。一番のショックはシーンやカットの繋ぎが下手なこと。どこから来たのかと首を捻らざるおえない設定よろしく、気づけば状況が変わっているしジャンプカット的に処理する飛び飛びの流れは厳しい。暗転多すぎ。
プロットも支点が分からなかった。竜の居場所を問い詰められ、自分の都合通りにいきたいだけでしょ?といってたけど、自分の事は一切明かさず「あなたは誰?」と問い詰める君もなかなかだよねと心の中でつっこんでしまった。そもそも何故彼が気になり恋に落ちたのかもよくわからない。「美女と野獣」のオマージュということで全てを乗り越えようとしてるのか。何故2021年現在「美女と野獣」だったのかもイマイチ。
現実においては寧ろ誰もが「歌を歌ってる」が故に衝突が起きているという認識の人間からすると、本作のヒロイックな作風はさっぱり。現実と仮想空間、人間の差異を描かず「世界を変える」とはいったいどういうことなのか。
1991年の「美女と野獣」の線描と雲の反復は良かった。細部まで行き届いた画面構成に携わったスタッフには頭が下がる思い。ルカちゃん好き。
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