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竜とそばかすの姫のhironowのネタバレレビュー・内容・結末

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

いまさらながら鑑賞しました
できるだけ前知識をいれずに「U」という仮想空間があるぐらいのレベルに留めました。

結論から言うと
古き良き初代MMORPG時代のコミュニケーションと
現在の「インターネット」(あえて多様な意味が含まれるので括弧書き)の出来事と
現実世界で個々人が抱える問題を
それぞれに組み合わせて昇華させた 傑作 でした。

劇中のセリフにあったと思いますが
「U」は現在の「SNS」とは明確に分かれて表現されていました。
また ながらスマホ のようにして ながら「U」 をしていると思われる場面もありました。
完全にいまの「インターネット」空間でできることを全身感覚とともに拡張した近未来世界として描かれていたと思います。

昔話になってしまいますが
MMORPGの始祖ウルティマオンラインでは
プライベート関連の話はそれほどタブー視されていませんでした。
学生は学校であったことの他愛もない会話や社会人の雑談などがグローバルチャット内で行われていました。
ときには夫婦げんかさながらのチャットが行われることもありました。
もちろん誰にどこまで開示するかはプレイヤーの手の中にありました。
そして、もちろんオフ会として実際に現実世界で会う場面も時にありました。当時は今の「インターネット」ほど警戒感は無かったように思います。
その点では本映画ではいまの「インターネット」の危なさとしてのエコーチェンバー現象も描かれていたと思います。

現在では、現実世界からバーチャル世界への動きが活発です。
VTuberは物質的な人類をネットワーク空間にネイティブに再現した存在であり、暗号資産ビットコインはネットワーク空間のネイティブな通貨になっています。そしてDeFiはネットワーク空間の金融です。NFTはネットワーク空間の資産でありクリエイティブ活動と関連付けられます。そしてこれらあらゆるものを統合してネットワークネイティブが再発明されたものが「メタバース」と呼ばれようとしています。
つまり映画では「U」=「メタバース」として表現されたわけです。

再発明されたとなると古き良きウルティマオンラインで起きた現実世界と紐付く要素も当然ながら生きているはずです。
本映画で山場となった、自分からするはずがないアンベイルや実際に会いに行く場面は、そんな仮想世界と現実世界をつなげる要素は残るということを伝えたかったのではと思いました。

ウルティマオンラインが活発だった時代には、そのゲーム空間という仮想世界のなかで新しい自分を作り出せ、広く発信することができました。当時はそれだけのプレイヤーがいました。
近未来「U」のような「メタバース」が実現されたとき、それはこれまでの日常が代わる転換点になると信じています。

お読みいただきありがとうございました。
乱文長文失礼しました。
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