・ジャンル
スラッシャー/村ホラー
・あらすじ
アパラチア山脈へ恋人ダリウスや友人達とハイキングに訪れた女性ジェン
ホテルでは「ルートを外れない様に」と警告を受けたが南北戦争時代の要塞を見たいというダリウスの以降で一行は忠告に背いてしまう
間も無く落ちて来た大木で一行の1人ゲイリーが死亡
その後も人の手で張り巡らされた罠に彼らは度々襲われていく
そして恋人ミラが殺されたと誤解した仲間のアダムが異様な風貌の男を犯人と誤解し殺害してしまった事から彼らは山奥に独自の文化が築かれた集落、“新国家”へと拉致
そんな事情を知らず音信不通となったジェンの捜索に彼女の父スコットもまた町へとやって来るが…
・感想
森に巣食う食人一族ヒリカー家の脅威を描いたシリーズ「クライモリ」のリブート版
今作に彼らは登場しないが前作で言及されていた他の一族の名を持つ男がいた事から同じ世界線のアナザーストーリーと思われる内容となっている
ヒリカー兄弟が出て来ないという事で内容を心配していたもののオリジナル1、2作目の様なシリアスさが取り戻され意外に悪くない内容だった
人種、性指向への偏見などに度々触れられ南北戦争をキーとした物語は1作目で語らずとも察させる程度に収まっていた文明社会のもたらしてきた分断や虐殺への風刺、現代社会の野蛮さへの指摘など社会派性も見られる
また主人公ジェン達もただ襲われるのではなく誤解から犯した罪を巡り裁判に掛けられ同化を選ぶという捻りのある展開によってオリジナルシリーズの多くの作品の様な単なるチャラい若者でない事が上手く強調されていて見やすい
彼女の恋人ダリウスの選択もまた面白い要素だった
何を持って野蛮とするか、真の平和とは何なのか、文明社会が果たして本当に高等な物なのか
様々な問い掛けをしながらも根幹である襲撃や戦闘はしっかりと見られそこも嬉しい点
ただ入植地である“新国家”が原始的生活を送りながらも独自の法律を形成していたのは余計だったかもしれない
と言うのもオリジナルシリーズの様な過激で陰惨な食人目的の殺戮が見られずゴア描写も控えめ
加えて新国家の者達もまたある種の理想主義者で過去の奴隷貿易や殺戮に関わる衝突とは毛色が違う
人種や信条で分け隔てをしないという美徳を持つ事は確かに絶対的に正しい
けれどそういう思考が出来るのなら隔絶されたコミューンを築き排他的に生活するのもまた新たな差別と衝突を産むのみという結論に至らないか?と
そうならなかった以上、新国家も現実に複数存在したカルトと大差ないと言うか…
まぁその歪な分断を表現したのかもしれないけど
とはいえ意義のある指摘が度々為されていたりシリアスで緊迫感に満ちた世界観が最後まで貫かれラストでジェンが下す決断もその一環となっていたので1つの作品としては悪くない
1作目の脚本家が復帰したのも素直に喜ばしい事だし
問題は「クライモリ」シリーズでこれをやるべきだったのか?という事
やっぱりどうしても食人要素を期待してしまうので…
今作はリブートという事だけど今後続編がまた製作されるんだろうか?
その場合どんな展開を見せるのかは素直に気になる