みんと

アポロンの地獄のみんとのレビュー・感想・評価

アポロンの地獄(1967年製作の映画)
3.7
『マンマ・ローマ』に次いでパゾリーニ作品を鑑賞。先のモノクロ映像ではそこまで感じなかったけれど、カラー映像になった途端とんでもない世界観に圧倒された。

撮影にしてもストーリーにしても有無を言わせず引きずり込む、言わば力技で観せる感じが突き抜けてる。強い!熱い!主要キャストの漲る熱量でもってどうだ!と言わんばかりの迫力すら感じる。

いずれ父を殺し、母と情を交わすことになると言うお告げを聞いた主人公オイディプスが運命から逃れるため放浪の旅に出る…何ともぶっ飛んだ設定、更には衝撃的な展開なんだけど、ギリシャ神話をモチーフと聞くとすんなり入る。但し、至って悲劇的な作品にも関わらず感情移入とは無縁作品でもあった。

ここのところの鑑賞作品に良く登場するシルヴァーナ・マンガーノは目ヂカラととてつもないオーラに今作でも圧倒される。引くほどの存在感に惹き込まれる。

メインストーリーとなる古代ギリシャのシーンはなんとトルコで撮影されたとの事だけれど、灼熱の荒野の風景はとても荒々しく土臭く、されど力強く視覚に突き刺さるほどだった。
そして冒頭とラストで切り替わる現代のイタリア風景の意味するところは…?

ともあれ多少の難解さも奇才の描く恐ろしくも美しい映像力に頭をガツンと殴られた感覚!
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