アポロンの地獄の作品情報・感想・評価

「アポロンの地獄」に投稿された感想・評価

はぎの

はぎのの感想・評価

4.0
ギリシャの古典『オイディプス王』を映画化した作品。3時間くらいの映画を観たようなスケール感で100分弱とは思えない熱量。

オイディプスは知らなかった。
たまたま殺害したのが実の父であったことを。
オイディプスは知らなかった。
王となり抱いた女が実の母であったことを。

まだ赤子だった頃に捨てられ、授かった予言の通り父を殺害し、結ばれたのは実の母...まさにその題名のごとく地獄のような運命に翻弄され、逃れられない王オイディプス。かなりヘビーな内容です。

男児は無意識に父に嫉妬し、母に性的感情を覚えることが人間の本能というエディプス・コンプレックスの思想はこの神話が語源なんだとか。

冒頭、まだ赤ちゃんだったオイディプスがあたかも両親の情事を見ていたかのような演出。もちろん見えているはずがないし理解しているはずないが、赤ちゃん”が”見ていたのではなく、あれは情事中も赤ちゃんを気にしている父親の目線だったのかと思うとすんなり入ってくる。
赤ちゃんに嫉妬心を抱き、妻を取られてしまうかもしれないという父親のその後の予感と焦りが巧みに表現されていたと思う。

時折スクリーンを超えてこちらを覗いているかのようなオイディプスのするどい眼差しが突き刺さる。その瞳には生のエネルギーが満ちているが、終盤の展開でガラッと印象が変わり心身ともに朽ち果てて光を失っていくのが辛く印象的。

ハンディカメラのゆらゆら揺れる荒っぽいアクションシーンはなかなか退屈にも思えるけど、現代と過去...そして現代へと移り変わるスケール感や、人々の証言から過去が暴かれていく過程が面白かった。
monaminami

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4.9
古典をここまで地獄と美しさに昇華してしまうパゾリー二の感性よ。
otom

otomの感想・評価

4.8
この間観た『薔薇の葬列』にチラッと出てきたので、久々の鑑賞。あるあるなこの世の地獄のテンプレで今更言うまでもなく古典中の古典。呪われた宿命の中でもなんだかんだで善を渇望するってのが唯一の救い。でも哀しいかな、繰り返されるのが人類の歴史。荒野と鮮やかな緑、ショッキングな映像の数々とモーツァルトの弦楽四重奏、舞楽等々の絶妙な組み合わせ。傑作。
LDを再生する順番を間違え、序盤と終盤が入れ替わっての鑑賞。見始めから、いきなりオイディプス王がブチ切れまくっていて面食らった。もう一度見ないことには何とも言えない
彦次郎

彦次郎の感想・評価

3.1
オイディプス王の悲劇をモロッコを舞台に描いた作品。荒涼たる原野と無骨な剣や鎧、何だかよく分からんスフィンクスと民族音楽に奏でられる世界観は原作とは違うのでしょうが古代感に満ちています。人を陥れるような御神託が全ての元凶にしか思えません。

このレビューはネタバレを含みます

パゾリーニの古代3部作の2作目にして初のカラー作品。

冒頭で見る映画を間違えたかと思うくらいテーマにそぐわない近代の話を描写し、そこから唐突に平然とオイディプス王の物語をリアルに綴っていき、ラストでまた現代に戻る超現実的展開が実に好み。

それでいてクローズアップの力強さ等には以前より更に出来るようになったと思わせるものがあって素直に見応えがある。

カラーの為奇跡の丘と比べると若干画面の力が減じた感は否めないけど、その分太陽光や土、そして血の色が鮮烈に見えるところも多かったから一長一短といったところか。
なすび

なすびの感想・評価

5.0
わーい初パゾリーニ!ピエル!パオロ!パゾリーニ!(パゾリーニってどんなヤバイやつなんやろうって思ってたけどネットで調べたら渋くてかっこいいしニネットダヴォリと仲良しな写真が多くて案外かわいいなと思いました)

まず思うのは、「ロケ地…どこ…!?」お城とかどうなってるんだろう…

監督自身自分をオイディプスに投影して現在と過去が繋がるのが面白い。
木に縛られて吊るされる子ども役やるのってどんな気分なんだろうね…

それにしてもフランコチッティは顔濃いし、シルヴァーナマンガーノは女神のように美しい。
8

8の感想・評価

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神話のイメージとは違って、双方へろへろの戦闘シーンや質問もいわせてもらえずすわってたら殺される運びとなり焦るスフィンクスなどなんとなく間が抜けているおかしさをおぼえます 救いがないようで最後に始まりの地へ帰っていくショットにはうつくしいものがありました 大司祭がパゾリーニなんですね
2MO

2MOの感想・評価

3.3
映像こそが映画の言語として雄弁であった時代に思いを馳せる。
理解を必要としないままに共鳴し得る心象風景。
プリミティブな表現をまともにあてられ感受性が揺らぐ、そんな映画が今世紀に存在するだろうか。……ホドロフスキー……最後の映像作家……そんな言葉が浮かんだ。

このレビューはネタバレを含みます

・オイディプス王をモチーフにした人間の因果について
・現代パートで始まり古代に話が移って最後はまた現代に戻る構成
・セミの音とか雅楽とかケチャとか音が面白い
・画面構成とかこちらに話しかけるカット割りが個性的
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