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アウシュヴィッツ・レポートのColのレビュー・感想・評価

1.9
実話を元にした作品は免罪符ではない

のは知っているが、ホロコースト×実話に間違えはないだろうと見てしまったのが過ちだった。映画好きとしての傲りと知る。あまり調べることもなくモチベーションを作って挑めなかったのでより見たことを失敗と感じた作品。

「この作品後半20分でいいと感じた理由」
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ナチスドイツが行っている収容所の暴挙を世に暴露することが目的で収容所脱出に動いたスロバキア人の実話。後半20分以降収容所を脱出し、収容所の真実・醜悪を伝えるシーンだが真偽を問われるもどかしさ、情報の受け取りてのまごつく様子と一夜経つ事に奪われる命があることに焦り憤る主人公達の葛藤が表現される。ラストエンドロールにはプロバガンダ演説、歴代の偽りの独演スピーチ。聴衆側は扇動されるのか、真実を見極めるのか現実に落とし込まれる流れまではいい、、只冒頭から70分くらいは正直脚本の深掘り乏しく没入できない作りに。逃亡者2人のキャラクターを描かない上での出発するもんだから、ちょっと頼りない臆病な相棒を持った主人公だが本ストーリーのアクセントにならず、どっちつかずの緊張感ない逃亡劇に。残された同じ収容棟の全員がどう脱獄したか口を割らすために拷問をかけるも、逃亡者との関係性が薄すぎてなぜ頑なな行動原理を取るのかは理解できない。拷問がいくらキツくても理に適ってないので迫力に欠ける。ナチス残虐さを表現する虐殺シーンも挿入されているが、「ホロコーストの残虐さは他作品もう既にお知りになってるでしょ。」とばかりに薄味でおざなりに。観る側はその壮絶さを理解しメッセージの重要性を噛み締めるよう訴えかけるところではないだろうか・・・。なぜ良さが分からないんだ!もっと評価されてこの事実を知ってほしいと監督が懇願しているのならその姿は作中の暴露を伝えきれない主人公と妙にリンクする。

伝えたいことがあるのなら説得力のある表現が必要と言うことを本作で学ぶ
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