ハレルヤ

アウシュヴィッツ・レポートのハレルヤのレビュー・感想・評価

3.8
1944年のアウシュヴィッツ収容所。ユダヤ人虐殺が蔓延る収容所で遺体の記録係をしていたアルフレートとヴァルターは、この醜悪な実態を外部に知らせようと脱獄を決意。命がけの脱獄を果たし、赤十字に報告書を書く実話を基にしたドラマ。

あのアウシュヴィッツから脱獄を果たした人がいるという驚きの実話。収容されているユダヤ人を救うため現状を外部に告発する2人の男たち。その過酷な体験を描いた作品。

淡々としたドキュメンタリータッチで、娯楽的な見せ場は当然ありません。それでもヒリヒリと感じるいつ命を落としてもおかしくない収容所の異様な雰囲気はリアルでしたし、余計な要素がないので1時間半ほどと短くまとめているのも良い点です。

木材に隠れて脱出の機会を伺う2人。しかしその間にも仲間たちが連帯責任として殺害されたり、寒風の中ずっと立たされたりと非情にも程がある扱いを受けて、胸が痛くなるような場面が続きます。

脱出してからは疲労困憊で朦朧としながらも歩き続けたり、奇跡的に匿われたり、文字通り命をかけた逃亡劇。その末に赤十字に辿り着き、収容所の実態を告発する。

あまりに想像を絶する内容に誰もが信じられない様子。今でこそこの実態は知られていますが、当時だと有り得ないと思われるほどのものだったと感じ取れます。

終盤の2人の力強い訴えをワンカット長回しで捉えた演出は流石のもの。映画としての完成度もなかなか高いと思います。
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