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スペンサー ダイアナの決意のoのレビュー・感想・評価

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アラフォー以上であれば誰もが知っているであろうダイアナ妃の悲劇。
冒頭で寓話と明言してるように、フィクションゆえの限界を感じたのが正直なところ。
一貫してダイアナ視点で進むのは良くも悪くもといった感じで、すでに彼女は精神的に参っている状態から映画が始まるので、なぜ彼女がこうなってしまったのかは周知の事実ということで省略していて、あたかも彼女がヒステリックなように見えてしまうのは明らかなマイナス点だと思った。
実際のところは神のみぞ知ると言ってしまえばそれまでだけど、本作における彼女の精神状態の描き方はやや神経質に寄りすぎているように自分は感じた。
推測の域を出ないけれど、彼女は公務や王室のしきたりを窮屈に感じていて、チャールズ3世とは考え方の違いが深まっていただけで、精神的に情緒不安定とまではいえなかったのではないか?と自分は感じた。ここらへんは王室への配慮だったのか?と少々うがった見方もしてしまった。
周囲の人たちを見てても、彼女を好意的に思って接している人もいれば、決してそうは思えない人もいる。それはそうだと思うんだけど、彼女から見てイヤな感じの人でも、実際は見えないところで彼女がしたいように取り計らっていた、そんな見せ方もできたと思う。このあたりは非常にドライで表面的に感じた。
演出や手法に関して言えば、神経質な音楽は作為的で意図が明確すぎて単純に耳障りに感じたし、アップの多い画面作りが続くことで途中から退屈に感じてしまった。終盤、ある登場人物が思わぬ告白をするけれども、どこか取ってつけたような感じは否めなくて、やや表面的に見えたのは残念だった(この人視点から見た映画だったら逆に新鮮な物語になった可能性があると思う)。
ダイアナ妃の人生を描き切るのは映画の尺は足りないと感じるので、Netflixで配信してるドラマを追ったり、少し前に公開されたドキュメンタリーを見たりした方が、彼女の人となり、彼女を取り巻く環境に対する理解が深まるんじゃないかと思った。
ある曲の使い方はそりゃもう完璧だったけど、物足りなさが残った。
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