Maoryu002

ペンギンが教えてくれたことのMaoryu002のレビュー・感想・評価

4.1
夫と3人の子供と幸せな家庭を持つサム(ナオミ・ワッツ)は事故で下半身不随となる。彼女は生きる気力を失ったが、子供たちがケガをしたカササギを拾いペンギンと名付けて育て始める。やがて家族はペンギンの成長を通じて生きる希望を見出していく。

地味で平坦なストーリーだけど、けっこう心に響いた。

前半、大自然の映像が美しいというより荒々しく暗く見えるのだが、それが最後にとても穏やかで優しい風景に変わっていくのが素晴らしい。
ラストの音楽と写真にも泣かされた。

サムは今までと同じように“普通”でいようとするけど、どんどん惨めで不幸な気持ちになっていく。
あれは当事者にしか分からない苦しみだろうが、観ている方はなんとかして勇気付けたくなる。そして、きっかけになってくれるのがペンギンだ。
ナオミ・ワッツは相変わらず安定の名演技をみせてくれるが、負けずにペンギン君が名演を見せ、これには驚きだ。

彼女が失ったものは計り知れないけど、事故がなければカヤックともガイとも出会えなかったし、キャメロンと過ごす時間はもっと短かったかもしれない。それに、家族が本音をぶつけ合うこともなかったかもしれないのだ。

人が生き続けることの素晴らしさを見せてくれる、とても勇気づけられる作品だった。
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