地獄の花園のbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

ただのヤンキー映画なのだが、キャストのハマり具合が面白くてそれなりには楽しめる。OL界のヒエラルキーが喧嘩の強さで決まるという設定のみで頭から終わりまで突っ走るコメディ。

全ての展開が王道のヤンキー漫画なので、メインの流れに意外性はまったくない。むしろベタを楽しむ作品なのだが、劇中でくどいくらい何回も「漫画みたい」という台詞が出すぎるのが少し鬱陶しかった。メタ的にあそこまであの台詞を使うのであれば「漫画みたい」ではない展開が始まらないといけないと思うが、この映画は終始「漫画みたい」の範疇を1ミリも超えてこないので。

ただそれでもそこそこ楽しんで観られたのは、圧倒的にキャスティングの面白さによるもの。まず登場したキャラを次のキャラの存在感が超えてくる展開の連続は、普通に楽しい。川栄李奈→菜々緒→広瀬アリス→遠藤憲一→小池栄子の流れは完璧。まず広瀬アリスが役に違和感ゼロで素晴らしすぎる。美しく顔に力があり、演技もしっかりしているので、前半がコントにならずにギリギリ映画として成り立っているのは完全に彼女のおかげ。そしてボスとして登場する小池栄子の凄まじさ。それこそコントでしかない女装の遠藤憲一の後にさらに「漫画みたい」でしかないキャラとして登場するのだが、普通にめちゃくちゃ格好良い。表情、台詞回し、所作、全てが素晴らしすぎた。正直この後に出てくるのが室井滋というのは弱すぎたなぁ。

主人公の永野芽郁は評価が難しいところ。どう見ても普通のOLなのに実は最強というギャップ作りのキャスティングとしてはありだと思うが、彼女の格闘シーンはあまりに嘘くさく、ちょっと見ていられない。細腕過ぎるのもそうだが、とにかくパンチなどの動きが全部めちゃくちゃキレがなくて弱そうなのだ。ひたすらワイヤーだけ。広瀬アリスの凄さが際立ってたなぁ。

喧嘩には勝ったものの向こうは彼氏に慰められていて「完敗」という冷笑的なオチもバカリズムらしいといえばそうだが、あまりにどストレートで古臭い価値観なので、もうちょっとどうにかならなかったかなという印象。

まぁ暇つぶしには丁度良い映画。