ももいろりんご

スーパーノヴァのももいろりんごのレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
3.7
真剣に、自分だったらどうするか…考える。
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 =STORY=
ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)、2人は20年来のパートナー。理解のある家族、友人に恵まれて、お互いを尊敬し尊重して、うまくやってきた。ところが、タスカーが病にかかる。当たり前のように日々を過ごし、当たり前のようにこの先も2人だと思っていたのに…
サムのコンサートに引っ掛けて、2人はキャンピングカーで旅に出る。サムの実家を訪れ、友人たちと再会し、思い出の湖畔を訪れる。同性であっても、熟年夫婦と同じく、月日を重ねすでにお互いはかけがえのない存在。しかし、それぞれが思い描いていた「この先」は、全く違うものだった。それぞれが持つ覚悟、そして2人の出した結論とは。
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物語は車で旅に出たところから始まって、全体的に2人の会話劇で進みます。でも説明ちっくな要素がなく、シンプルなやりとりから、観ているものは2人の関係を理解できるし、2人の愛が深いのがわかる!(それを感じられる構成というか、空気というか…)
夫婦愛で深いお話は多々あるけど、これは敢えての同性愛。しかもイギリス。年齢や会話から過去に差別的な経験もしているはずですが、2人でいることが当たり前の日常を、もういろいろ乗り越えてずっと過ごしてきたのが感じられる。ステキなカップルだなぁ…と思いました。
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だからこそ、もう一緒にいられない…そんな選択肢…切ない…。「私の頭の中の消しゴム」私、大泣きだったんですよー😭
「失うことが悲しいならそれは良いものだったんだ」と言うセリフに、あぁそれは本当だなと。
断捨離が流行りましたが(笑)、何かを手放す時、悲しいけれど、次を見据えて決意できる時もあれば、「やっぱりやだ、絶対手放せない」と思う時もある。失いたくない。離れたくない。
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これ、まずトゥッチにオファーがあって、トゥッチがファースを相手役に誘ったのだそう。最初の配役は逆だったと言う話。「プラダを着た悪魔」のトゥッチが好き〜♪あのシニカルな英語にニヤリとしちゃう。そしてコリン・ファースって「アナザー・カントリー」のあのコだったのねー😳
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美しいイギリスの風景と音楽、ゆったりと流れる時間の中で、名優2人の何気ない所作や言葉が沁みました。
スーパーノヴァ(超新星)は星がその長い寿命を終える時の大爆発。その人生の輝きについてのお話。