Yoshishun

戦場のメリークリスマス 4K 修復版のYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

詳細な感想については、もうひとつのレビューに記載してるのでそちらを参考にしていただきたい。

さて、大島渚監督最大のヒット作であり、同時に最大の異色作ともいえる戦争映画。2013年の初鑑賞から8年、しかも最初で最後の劇場鑑賞になる。

やはり作品に対する印象は大きくは変わらないものの、初見よりも"西洋と東洋での文化の対立"という面で感じ方が変わったように思う。死を美徳とし死を一切恥としない日本の武士魂ともとれる死生観、それと対照的な西洋の死生観の対立。他国兵士の捕虜を自国の文化を学ばせ染め上げようとするヨノイ大尉と、我を見失わない強固な姿勢を見せつけるセリアズ。二人の邂逅により、物語は大きく変貌を遂げていくが、対立していくなかでの己の生き方、過去に犯した罪の償いを施していく姿が美しい。

映画史上最も美しいキスシーンと表される二人の交わりも、初見ではまだ中学生だったのもあり何を意味するかさっぱりわからなかったが、幾多もの作品を観てきてようやくその真意を理解できたように思う。

主要キャストの本業が役者ではない、一部の台詞が聞き取りづらい(大島監督の息子、坂本龍一の娘からも指摘されている)、女性キャストがほぼいない、突然の回想など、何度見てもやはり作りが歪な作品である。ただ、その歪さこそが本作の持ち味であり、戦争により変化していく人間性を描いたドラマとして効果的であるといえる。

やっぱり何度見ても素晴らしく、不思議な魅力に溢れている。大傑作。
Yoshishun

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