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戦場のメリークリスマス 4K 修復版のcinecoroのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

子供の頃観たけどもちろん面白いと思う事はなく、教授の翳り化粧とラストの「メリークリスマス、ミスターローレンス」だけは頭にこびりついたまま今まで観ずにいた甲斐あって、劇場で観られる日が来て嬉しい!当時それなりの歳だったらばキャストの名前だけで気絶!て感じだろうその興奮を想像するしかない。

タイトルバックのところだけでゾワっとしたな〜究極にホモソーシャルな価値観で支配される戦時下の男たち。そこは一見して日本兵にだけ顕著なように思えるが、セリアズの回想から男性が集合した時には少なからず発せられる「男らしさ」の確認や、自分たちのルールから逸した者を排除するといった独特の空気を皆まとってきているものだとわかる。
それでも…恥を持って生きるのは悪=死ぬのが美徳=すぐ切腹=神である天皇に命を捧げると本気で皆が信じている集団は外国人からみたら狂ってるとしか思えないだろう。セリアズに淡い想いを抱くヨノイもまた、個人としての自分の存在を容認出来ずに集団の中で暴走してしまう。混乱が極限に達した時にセリアズにキスされて"う、う〜ん!"といった感じで失神!
おもしろいなあ!!
たけし演じるハラ軍曹とロレンスの間にも奇妙な信頼関係があって、ここも重要な存在として描かれているのがよかった。何の矛盾も葛藤もなく軍人としてある意味ピュアに生きているように見えるハラが、クリスマスにサンタだと名乗ることで一個人としてロレンスとセリアズを釈放してしまうところ、終戦後に刑を控えたハラが友人としてロレンスに面会するシーンのあのカットで終わるところが爽やかだし色々やったけど人間になったよ、あなたにメリークリスマス!(と解釈)
と呼びかけるのがグッときた。
ものすごく好きかと言われればそうでもないのだけどそれぞれの関係性を後から考えるだけでも面白みの増す名作だなー。
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