8g

戦場のメリークリスマス 4K 修復版の8gのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに観たらめちゃくちゃ食らった。
セリアズという自由・人間性の体現者によって日本軍人たちの信じる秩序(=神)が撹乱され、二・二六で「死に損ねた」と語るほど軍国主義に染まった将校ヨノイが変化していくさまを、坂本龍一の素晴らしい音楽が彩る名作。
物語の中心となる2人はもちろん、対極的でなく境界がはじめから溶けかけているロレンスとハラの交流も良かった。

死にゆく人の髪の毛を持ち帰って神社に奉納させるって、ヨノイ大尉からしたら最大級の敬意だよなあ。
志願兵で叩き上げのハラ軍曹と、職業軍人のヨノイ大尉とでは、秩序への忠実さが段違いなのがよく分かる。ハラはクリスマスに酔えるけど、ヨノイは行をするしかない。
ロレンスが終始ハラに敬意を払って、対等であろうとしていたのがすごく良かった。
セリアズのキスも敬意だと思う。非道な敵であっても人間として尊重するという。

「ロレンス、お前はなぜ自決しない? お前が自決をしたら、俺はもっとお前を好きになったのに」
「ヘンな顔だ。だが目は美しい」

後半から英国俘虜達が歌う歌が印象的に使われるが、これは『ONODA』を思い出した。自由の象徴としての歌。
弟が歌わなくなった原因の事件に責任を感じるセリアズ。あのエピソードはヨノイが神格化する彼も結局は人間に過ぎないという具体例かも。
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