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三姉妹のtdswordsworksのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.8
今年の暫定トップ!

三姉妹のそれぞれが振る舞う女性/母親のイメージは三者三様だけど、不思議と血を分け合った三姉妹としての納得性もあるキャラクター造形。姿勢や目の遣い方、声色など演技のテクニカルな部分も炸裂してた。
交流が無くなっていてもおかしくないほど三姉妹の暮らしにはギャップがあるのに、どうして繋がっているのかと疑問に思いながら見ていたけど、三姉妹は他をもって替わりにできない存在であって、きっと死ぬまでお互いがお互いを必要とし続けるのだろうな。それは不幸な呪縛であるとともに幸福でもあるはず。
長女と売れないバンドマン、次女と若い女、三女と連れ子など、関係性のアンサンブルが物語の展開にもたらす効果がとにかく絶妙。どんな人物観察をしていたらこんな脚本が書けるのかな。クライマックスの食事会はその真骨頂で、長女が牧師に食事を勧める場面で泣きと笑いが同時に来て僕はどうしようもなかった。

個人的な話だけど、僕の父も次女のように相当に熱心なクリスチャンで、叱るときにも口から出るのは「神様が」で、それにちょっとカチンと来てた(神様がじゃなくて自分はどう思うかを聞きたかった)ことは、おそらくずっと本人には黙っていると思う。
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